読んだ本と聴いたCD
- 横山秀夫「真相」(双葉社)
- 例によって暗い、重いの短編集。警察物は暗くても、どこか距離を置いて読めるので、いいんですが、今回は一般人のお話なので、身につまされるというか、ツライものがあります。ただ、横山さんが好んで描く生きて行くことに不器用な人々というのは極端な例であることも頭ではわかっているし、微妙に救いがあったり(救いともいえない仄かなものだけど)するので、読んでそんなに憂鬱になることはありません。それよりもこないだの朝日新聞に出てた横山さんの父上のことを書いた一文の方が痛かった。病気でろくに働けず、鬱屈し、息子の就職を素直に喜べないで「俺の仕事はないのか」と呟く父親。そういう業の深さは省みればぼくにもあるわけです。具体例は痛すぎるので書きません。