聴いたCD/読んでいる本

  • ジギスヴァルト・クイケンJ.S.バッハ無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ(全曲)
    • 最近、クイケンにはまってますね。延々バロック・ヴァイオリンを聴きたい時にはコレです。環境音楽としてもこの響きと、おわりのなさが最適。しっとりと音に浸りつつ、おなじみのフレーズ(例えば「パルティータ第3番第3楽章」のガヴォット)で、ふと我に還るような、そんな夢うつつな聴き方も好きですね。81年録音盤。オリジナルの弓とヴァイオリンによる全曲版は珍しいそうです。
  • ピアソラブエノスアイレスのマリア」
    • ブエノスアイレスのマリア=タンゴの遍歴を綴るオペリータ。原語がヒアリングできない分(ほとんどの外国語がそうなんだけど)、ボーカルとナレーションが音楽的に聞こえ、こうした舞台系にありがちな「見てない映画のサントラ」という感じがあまりせず、彼の地でラジオを聴いているような、不思議な臨場感を得ることができました。ヨーヨー・マつながりということですが、最近、古楽&声楽どころか、どんどん節操がなくなってきたなあ。
  • マルコム・ゴドウィン「天使の世界」青土社
    • 新装版。天使学の入門書として最適。というか、キリスト教の成立過程を踏まえたガチンコの論考と、現実に目撃されたとされる天使についての考察という硬軟二面から人と天使について語る手並みが見事です。前々から、気になっているグノーシス派の思想についても簡明にまとめられているのがありがたい。まだ勉強が足らないので迂闊なことは書きませんが、原始キリスト教の発展過程というのは女性原理の圧殺だったのかもしれません。そういえば訳者の大瀧啓裕さんはラブクラフト、ディックの翻訳者でもあり、ご自身の著作としては「エヴァンゲリオンの夢―使徒進化論の幻影」(創元社)というエヴァ解釈本であると同時に怒濤の神秘学入門書があります(大著です。読み終わるのに何日もかかりました)。他にエヴァ本で面白かったのは小谷真理さんの『聖母エヴァンゲリオン』(マガジンハウス)と森川嘉一郎さんの『エヴァンゲリオン・スタイル』(第三書館)。そうそう大瀧さんといえば、ディック『ヴァリス』(サンリオ文庫)の70ページにわたるキーワード解説にも圧倒されましたね。これに対抗できるのは(ベクトルが違いますが)キム・ニューマンドラキュラ紀元』『ドラキュラ戦記』『ドラキュラ崩御』(創元文庫)の訳者梶元靖子さんによる巻末「登場人物事典」でしょう。