聴いたCD

  • ロザリン・テューレック「ゴルトベルク変奏曲
    • これはスゴイ。一応の予備知識(グールドに影響を与えた。演奏時間はグールド版の倍。昔LPは出していたがCDデビューは84歳。昨年亡くなった)はありましたが、実際に聴くと、驚きます。二枚組のゴルトベルクというのも初めてです。全部で90分。ノンレガート奏法で一音一音、丁寧に聴かせてくれます。テンポの遅さというのもありますが、きっちりきっちりリピートしているので、時間がかかる。ところがこれがまったくダレた感じがしません。楷書のバッハ。くっきりと明晰なバッハです。グールドのゴルトベルクが新旧ともに「グールドのゴルトベルク」だとすれば、コチラは「バッハとテューレックのゴルトベルク」という感じ。ぼくはグールドのゴルトベルクを聴くと精神が揺さぶられて涙腺がゆるゆるになりますが、テューレックのゴルトベルクは「バッハのすごさ、奥行き、美しさ」に感心する方が大きいので泣いたりはしません。眠れぬ夜の就眠音楽としてはテューレック版が正解でしょう。とはいえ実際は「眠れぬ夜の気晴らし音楽」だったそうですが…。ぼくも、時々神経が高ぶって、または憂鬱になって眠れないことがあるので試してみようと思います。