聴いたCD/読んでいる本

  • グレン・グールド「バッハ:6つの小プレリュード」
    • ここ何日も浴びるようにグールド。今日も地下鉄でグールド。アルバム・タイトルからもわかるように、小品を集めたアルバムです。ピアノをチェンバロのように弾いていて、ああ、ピアノとはこのような幅広い表現力があるんだと何度目かの納得。ぼくは元々、古楽から聴き始めたので、ピアノはあまり好きではありませんでした。グールドを最初に聴いたのはラジオから流れる「ヴィオラ・ダ・ガンバ協奏曲」で、その時はどっちかというとグールドの方がオマケだったんだけど、今や、レナード・ローズの数十倍はグールドを聴いています。ゴルトベルクのような神懸かり的な大作もいいけど、こういう掌編小説集みたいなのもいいなあ。
  • アンドルー・カズディン「グレン・グールド アットワーク」(音楽之友社
    • 上記の盤のレコーディング・プロデューサーでもあるカズディンによる「現場」のグールド。次々と周りの人を魅了し、捨てていくグールド。本書はまるで捨てられた恋人の懊悩のようで痛々しい。天才という重力異常の場に巻き込まれた凡人の悲喜劇といってしまうのは可哀想なんだけど、これはもうしようがない。
  • ファジル・サイシャコンヌ!」
    • 先日のモーツァルトに続いて、今度はバッハです。「フランス組曲」、「イタリア」協奏曲と来て、リスト編曲版の「プレリュードとフーガ」、プゾーニ編曲版の「無伴奏ヴァイオリン・パルティータより」と展開し、最後は「平均律クラヴィーア」という構成。「ヨーロッパ人としてのバッハを示す」というテーマだそうですが、サイがヨーロッパ的な教養を身に着けたトルコ人だからそういうことを考えるんだと思います。申し訳ないが、ぼくにとってはどうでもいいことで、ノンレガートの切れ味の良さとか、速度感とかを、「うほー」「おおっ」と堪能。まだ二枚しか聴いてませんが、幸か不幸か二枚とも「こんなこともできる」という、ある意味サンプラー的なところが感じられて、今ひとつ「参った! 参りました」という感じではない。その意味では現在予約中の「春の祭典」が楽しみです。

シャコンヌ!?サイ・プレイズ・バッハ