無邪気な時代

少女たちの日々へ〈1〉

少女たちの日々へ〈1〉

  • 45歳の若さで亡くなった写真家・青山静男の少女写真集。企画・編集に携わった知人からの贈呈です。ぼくが青山静男の写真を初めて見たのは80年代のロリコン誌「Hey! Buddy」(白夜書房)誌上でした。いわゆる街撮りの少女スナップ集で、児童ポルノに類するものではありません。可愛い女の子に街角で声をかけて、撮る。当時はいろんなカメラマンが街でスナップを撮ってましたが、青山静男モノクローム写真は群を抜いて良かった。時としてソフトフォーカスにしてみたりという演出はあるんだけれども、直球で女の子の「可愛い」を撮っている。にじみ出る天然といってもいいかもしれません。女の子たちの表情がいいんですね。宮崎事件以降、この種の写真を撮ることができなくなってしまいました。あの事件がなくても、いずれは肖像権問題とのからみで、遅かれ早かれ撮りにくくなっていったのでしょう。だからこの写真集は可愛いからシャッターを切るという素直な行為が素直な行為として容認されていた呑気で無邪気な時代の記念碑でもあるわけです。それを考えると切ない気分になります。