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九十九十九 (講談社ノベルス)

九十九十九 (講談社ノベルス)

  • 清涼院流水の世界を、いや現実世界をも借景にメタ小説しまくった怪作。美と醜、生と死と再生がウロボロスの蛇のようにぐるぐる巻きになる快感。しかし、そこまでイッちゃっても、愛と家族に収斂するあたりがいかにも舞城王太郎らしい。テクニカルな前衛小説でありながら、泣かせる。流れ星のような束の間の生を永劫に繰り返し、永劫に愛する者と別離し続ける業を背負っているのは我々とて同じことなのだと気付く。センチメンタルな読みですが、今の気分ではそんな感じ。