ネコとグノーシス

天才ネコモーリスとその仲間たち

天才ネコモーリスとその仲間たち

  • プラチェットの「児童文学」ですが、例によって皮肉と寓意がテンコ盛りなので、大人が読むとなお面白い。舞台はやはりディスクワールド。円盤世界狂は読まないわけにはいかないでしょうな。無論、ふてぶてしいネコが好きな人にも吉。


異端審問 (A DISCWORLD NOVEL)

異端審問 (A DISCWORLD NOVEL)

  • 信仰心なき原理主義が支配する教権国家を舞台に、ただ一人、神の実在を信じる少年とカメにまで落ちぶれた小さき神が生存を賭けて苦闘するという物語。過酷な一神教原理主義に対する痛烈なパロディですね。西欧哲学史、宗教史に対する予備知識があればさらに楽しめるはず。例えば、この哲学者のモデルはディオゲネスだとか、哲学者たちはなぜ裸で風呂から飛び出すのかとか、わかっているとなお笑えるでしょう。グノーシス主義への言及もありますが、たとえ狂った神(デミウルゴス)という形ではあれ、造物主を設定しないと世界が始まらないというあたり、プラチェットも西欧人なわけですね。このあたりはアバウトな、神仏混淆もヘッチャラ、無信仰でもオーケイな多神教世界に住むぼくらとは世界観の根底が違うような気がします。