バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)

  • 三枚組ということでゆったりとした演奏。第一番の入りの部分がちょっと独特な感じ。これまで何人かの無伴奏を聴いてきましたが、ようやく曲が好きなんだというのがわかったよ。誰の演奏でも楽しめるということがよくわかった。いい加減な耳かもしれんが、それだけバッハがすごいということにしとこう。でもヴァイオリンの方は、演奏者によって好き嫌いがある。ゴルトベルクもそれぞれにいいんだけど、最後に残るのは81年のグレン・グールドだ。

アンダー・ファイアー

アンダー・ファイアー

  • 83年日本公開の映画のオリジナル・サントラ。たしか当時、ビデオ雑誌の仕事をやってたんで、映画館ではなくビデオで観たと思います。なんつーか、渋いイイ映画だったですね。ストーリーはうろおぼえなんだけどさ。舞台はサンディニスタと政府軍が内戦を繰り広げていた79年のニカラグア。主演のニック・ノルティは報道カメラマン。いかにもタフそうで、いかにもアメリカのカメラマンて感じでしたね。配役は豪華。タイム誌の記者役でジーン・ハックマンが、武器商人役にはなんとなんとのジャン・ルイ・トランティニアンが出てんですよ。物語はノルティがサンディニスタの英雄の写真を撮ってくれゲリラに頼まれて、それはすげー特ダネじゃん! と南米のジャングルにずんずんずんずん入って行くと、ゲリラの親玉は政府軍に暗殺されてて、それを生きてるように撮ってくれと頼まれる。英雄が生きているなれば民衆の志気が上がるんだ。お願いだよセニョール。というワケなんだ。でまあ、当然ながら善人のニックは「虐げられた民衆の側に立ってヤラセの片棒を担ぐか」「厳正中立なジャーナリストとしてありのままを世界に知らせるか」というジレンマに立ち至るわけです。ネットの批評を見るとあんまりかんばしくなかったりもしますが、まあなんつーか、スカッとするような類の映画じゃないんだわ。図式的にいうと、国民の貧困の上に栄華を誇るソモサ独裁政権(別名ソモサ王朝)をバックアップしてるのがアメリカ政府なわけでさ。それにリベラルなハリウッドのリベラルが抵抗してみせた。アメリカ政府がやっえることは正義ではない。しかし左翼であるサンディニスタを断固支持というわけにもいかない。歯切れがよくなるはずがないんですね。なんか善意のリベラル知識人の股裂き状況を見るようで、そこがまたリアル。冷静に考えれば異様な話ですよ。南米のジャングルにずんずん入って行って、死体写真を撮ってくる。このジャングルてのがまさに緑の地獄。過剰な生命感で噎せ返りそうです。そこにアメリカのマッチョが入って行く。これってエロいです。要するにアメリカの右派は「共産主義を食い止めたい」、左派は「民衆を救いたい」というそれぞれの「善意」らしきもので動いてるんだけど、「北米が南米をファックする」という図式は変わりません。ヨソん国にずかずか入ってって余計なお世話するのはアメリカの伝統だからね。でも、南米の奥地=子宮には胎児じゃなくて、死体が、それも生きてることにされるためのリビング・デッドが転がっているわけです。まさにブードゥ的にマジカルでブラックなオハナシでした。これに、かぶさる音楽てのがフォルクローレ風味で、そこにギターが入ります。このギターがまたたまらん。ジャングルの景色と音楽だけでも素晴らしいなあ。…と当時は誰がギター弾いてるかも知らなかったんですが、パット・メセニーだったわけです。というわけで、知る人ぞ知る隠れ名盤で、アカデミー賞にもノミネートされました。残念ながらAmazonでは品切れでプレミアつきの中古が置いてあるだけですが、タワレコではまだ新盤が手に入るようです。http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=759945&GOODS_SORT_CD=101

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