マキシム・ソロ・コンサート
連日のコンサートとはまあ、なんと贅沢な! しかも二日とも直前まで予定してなかった招待と代打。
さて、今日はマキシムです。クラシックとクラシック・クロスオーバーの両方で活躍するピアニストです。今回はクラシック・プログラムなんですが超絶的な技巧と長身と甘いマスクの持ち主ということもあって客の八割は女性。ほぼ満席です。でも、クロスオーバー系の客筋なのか、緊張感が低い。演奏始まってからヒールの音させて後部扉から最前列まで進む猛者もいれば、やたら咳き込むし、会場限定写真集の袋やらCD袋をガサガサガサガサさせてるんですよ。咳は生理現象だから仕方ないけど、主催者側は、せめて物販は音のしにくい袋に入れるとか気配りして欲しいし、遅刻してきた客は演奏が終わるまで入れるな! それが普通のはずだと思ってたんですけどね。
とはいえ演奏は素晴らしい。これまでテレビやDVDでその技巧の凄味は見ていましたが、生で観ると指の廻り方が尋常じゃないです。しかもしっかりと打鍵してますから残響が重なって濃密な音の雲が会場を覆うようです。もちろん早弾きだけじゃなく、遅いテンポでもしっかり表現してくれます。
演目もおなじみのショパンのノクターン&マズルカで入り、「指が早いだけじゃない」ゴルトベルクときて、バリーの「ある日どこかで」。よく考えたら三曲とも映画に使われている曲ですね。ショパンは「戦場のピアニスト」、ゴルトベルクは「羊たちの沈黙」、バリーのはクリストファー・リーブ主演の映画音楽。ここまでは「ツカミ」としてもお見事という感じ。驚いたのは第一部後半の二曲。ルーニーチの「ガレブ・イ・ヤ」、ケンフの「サヴゥーコリック」。聴いたこともない作曲家の聴いたこともない曲なんですが、これが、スゴイ! ある時は鍵盤に襲いかかるように、ある時は鍵盤を引きちぎるように、弾く、叩く。完全に現代音楽ですよ。後で調べたら、どうやら二人ともクロアチアの現代作曲家のようです。ケンフ(Davorin Kempf)はクラシック系のようですがルーニーチ(Zdenko Runjic)はポップス系の人かも。なんせ英語のサイトすらほとんど見つからないので詳しいことがさっぱりわかりません。
休憩を挟んで、後半はムソルグスキー「展覧会の絵より」。展覧会は実演で聴く方がいいと、オーケストラ版を聴いた時も感じましたが、ピアノ版も同じことがいえます。まあ、なんでも実演の方がいいに決まってるんですけど(例外は多いか?)、展覧会に限ってはCDで聴くとけっこう退屈。マキシムも渾身の演奏で、この曲の持つケレン味と重厚さを堪能しました。
■妻が購入したCD
- アーティスト: マキシム
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