• こないだ借りた本の補足。大体目を通しました。今年の5月に出た本なのでネタが新しいのがなにより。こういうのを読むと猛然と映画観てぇ! CD聴きてぇ! となっちゃうので困る。お手軽なガイド本としては★三つ。ただ、特急で作った本なのか、校正洩れでイタイのが散見できました。音楽の本で「プッチーニのオペラ『コシ・ファン・トゥッテ』」はイタすぎます。自分も過去にデカイ校正洩れをやらかしている(小説で行がダブってた…)ので偉そうなことは言えませんし、今書いてる本でも書いてる端から誤植の連続なので天に唾する感、なきにしもあらずですけどね。あと、ジャケ写に何点か解像度低くてボケボケのが混ざってるのも残念。ネットから拾ったんでしょうか? このあたりが増刷時に改善されれば★四つは行けると思いました。

この本では採りあげられていない、ぼくが「映画で覚えたクラシック名曲」

野性の少年 [DVD]

野性の少年 [DVD]

  • フランソワ・トリュフォーが監督、主演した小品で、ぼくが観たのは30年以上前(69年制作)。ヌーベルバーグの旗手にしては一見古典的で地味な映画ですが「文明を知らぬ野性児が、人間の本性に目覚めていく感動の真実」(アマゾンの解説)という表層的な「感動実話」で終わるわけがない! 18世紀末のフランス、アヴェロンの森で発見された野性児を引き取った医師が文明化していくという物語。ただ悲しいことに、人間は社会的動物であり、幼児期に社会から切り離されてしまうと「人間」にはなれません。この映画の最も切ないところは、医師の元を脱走した少年が野性に戻ることが出来ずに帰ってきて、哀しい目で窓の外の「自然」を見つめるシーンです。これはもう一つの『大人は判ってくれない』であると同時に、西欧啓蒙主義批判(自己批判)でもあります。善意の教育と利己的な調教馴致が実はコインの両面であること、啓蒙思想による第三世界の文明化の実態が植民地支配と新世界への奴隷供給だったこと…、そうした認識がなければ描き得ないと思うのです。で、全編に流れるのがヴィヴァルディの流麗なマンドリン協奏曲とフルート協奏曲でした。

映画とクラシックに関しては「極楽page」が充実しています
http://www.geocities.jp/gokuraku_ya/index.html

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