もう、昨日は何がなんだかわけがわからなかった。
 今日になって、ようやく実感が伴ってきた。

 そんな中、故人の共通の友人から電話が入った。
 故人の写真を探しているとのこと。
 遺影に使えるようなものではなくても、ご遺族にお渡ししたいという。
 イベントの時にデジカメで撮ったものをハードディスクから見つけだし、
 CD-Rに焼いて現像屋に向かう。
 プリント待ちの時間、ずっと夜道を歩いた。
 プリントに出した写真は二枚あって、一枚は真剣な眼差しの横顔であり、
 もう一枚は幸せそうな笑みを浮かべている。
 そのことを想うと夜道を歩いているうちにどうしようもなくなった。

 でもまだ実感がない。
 現実から逃げているのはわかっているが、
 故人の名前を書くこともしたくない。
 書いたとたんに現実が追い付いてきそうでイヤなのだ。