生き延びるためのラカン

生き延びるためのラカン (木星叢書)

生き延びるためのラカン (木星叢書)

 斎藤環さんの新刊はなんとラカンの入門書だ。そういえば昨年「ラカンのいい入門書はないですか?」などと質問したことを思い出した。ようやく答えをもらえたみたいでうれしい。
 まだ40ページくらいしか読んでませんが、平明すぎるほど平易な文体でわかりやすく書いてある。これならオレでもラカンがわかるかも。
 斎藤さんと議論をした時、つまり「『戦闘美少女の精神分析』をめぐる網状書評」*1のやりとりなんだけど、ほとんど煙に巻かれてしまった。オレの脳内辞書にはラカンの術語が入ってないのに、斎藤さんの脳内辞書には一般辞書とラカン辞書が両方搭載されているので同じ言葉を話していても、噛み合わない。何かズルをされたような気分になってしまうのだ。その時のオレの苛立ちみたいなものは上記のコンテンツを読めばよくわかると思う。
 別にそれが悔しいとかじゃなく、言語体系が違う人と話すと、わからないけど猛烈に面白いのである。コイツの脳みそはどうなっておるのか? と。それから、ラカン御大はけっこうめんどくさそうなので入門書とかジジェクとかも読み始めた。もちろんわかりませんよ。わからないけど、何がわからないかが見えてくる。何がつっかえているのかわかってくる。これは面白くてかっこいいなと思ってるうちに何かがジワジワとインストールされていくわけだ。
 そこでこの新刊である。
 これをちゃんと読めば、もうちょっと面白くなる予感がある。
 なにしろ帯に「世界で初めての使えるラカン解説書にして精神分析入門」と書いてあるからだ。
 帯は常に中身以上に真実を語る。
 オレの本が好例である。
 いや、ホントに。