再生医療のしくみ

エスカルコ゛・サイエンス 再生医療のしくみ (エスカルゴ・サイエンス)

エスカルコ゛・サイエンス 再生医療のしくみ (エスカルゴ・サイエンス)

 著者の八代嘉美さんから頂きました。再生医療の最先端をわかりやすく解説する好著。中学生くらいからでも読めそうな感じで、幹細胞とかES細胞とか「新聞で読んだことはあるが詳しくはわからん」というオレのような文系物書きには最適の一冊と言えるだろう。それにしても、医療研究の最先端は素人目にはほとんどSF。

 我々の研究室では、まだ免疫系が未発達なブタ胎仔にヒト造血幹細胞を導入して、人の血液を産出するブタの作成に成功しました。このブタの免疫組織は、血液細胞を提供したヒトを自己と認識するので、拒絶反応を抑えることができるのです。このブタにヒトの肝臓の一部を移植し、ブタの体内で十分な大きさまで再生したところで摘出し、ヒトに移植することを計画しています。

 なんてことがさらりと書いてあったりするのだ。
 八代さんがSF者ということもあって、「参考図書」にさりげなくダナ・ハラウェイやウィリアム・ギブソンが混ぜてあったり、章タイトルや小見出しにSFやアニメのネタを埋めてあったりするのがおかしい。「所有せざる臓器」「人体補完計画」「ブラッド・ミュージック」なんて項目が並ぶ目次は一見の価値あり。しかし「どこからなりとも組織に1つの幹細胞」は無理矢理すぎ*1