今読んでる本たち

文化の社会学 (有斐閣アルマ)

文化の社会学 (有斐閣アルマ)

 何人もの筆者による共著で、知り合いの論文を読みたくて買ったのだが、他の論文も興味深い。大学の教科書なので、この手の学問の入門書としても最適だろう。「まず第I部を流し読みし、十分に理解できなくても第II部に進んでもらいたい。第II部は、自分の興味ある章からランダムに読んでもらえばいい」(「はじめに」より)ということなので、住居、ファッション、音楽、CM、同人誌、ネット、そえぞれについての文化分析を拾い読み中。ちなみに同人誌はやおい/BL、ファッションはガングロ、ネットは2ちゃんねるを扱っている。

 半分くらい読んだ。少女漫画における男装の美少女の表象分析ということで、絵の表現(瞳のハイライトや服装の色などを含む)にまで踏み込んでいる。相当に面白い。博論ベースのハードコアな論文なんだけど、『リボンの騎士』『ベルサイユのバラ』など、主として扱われている作品がメジャーなため、わかりやすい。ジェンダー論と漫画論に興味のある人なら必読。

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

 竹熊健太郎さんのお見舞いに行った時にいただきました。まだ読み始めたばかりなんだけど、滅法面白い。ひとつには東浩紀さんの口調とか、断言する時の楽しそうな表情とかを知っているせいもあるだろう。いくら編集し、手を加えてもライヴ感がある。というか、対談を文字にする時にライヴ感があるようにするのは実は大変なんですね。ライヴ感というのはおおむね冗長度の部分に宿ってたりするからやっかいなのだ。とはいえ最も冗長度の高いベタ起こしが最もライヴっぽいわけではない。変な言い方だが必要な冗長度というのがある。本書は、それがいい塩梅なんですな。読みやすく、熱く、乗れる本だ。本書ではほとんど触れられていない(多少はある)城北部に20年以上住み続けているオレとしては不満も残るのだが、逆に自分の知らない、肌触りがわからない街々については「なるほどなあ」と感心。たとえば東さんの、
「こう言えばいいかな、いわばキャラクターとしての僕とプレイヤーとしての僕がいてですね、キャラクターとしての僕はずっと渋谷にいる、でもそれはあくまでもキャラでしかない、プレイヤーとしての僕は青葉台にいるけど、リアリティはゲーム内空間にある」(p32)
 なんてのは、言えてるなあと感じた。
 読み終わったらまた書く。