パンクと指揮

 テレビといえば夕べたまたま見てしまったのが、パンクロッカーが4週間で指揮者になれるか? というイギリスのドキュメント。「偽物は誰だ?」的なテレビ番組のメイキングです。音楽雑誌の編集長や、コンサートマスターといった審査員の前で、四人の指揮者が指揮し、どれが偽物を当てるというわけです。
 全く訓練を受けていない状態で、とにかく本職を真似て振ってみるんだけど、もうドシャメシャ。なにしろ「楽譜? 字も満足に読めないんだぜ、読めるわけないじゃん」というピンクのモヒカンあんちゃんですからね。有名指揮者が付きっきりで訓練する。編集のテンポが良くて、飽きません。日本の番組だったらもっとクサイことやるんだなろうなあ。感動を強要するんだおろうなあ。上手いのは、訓練を通して、素人が大部分であるはずの視聴者がちゃんと「指揮者の仕事とはこういうものだったのか」と理解できるように作ってあるところです。娯楽と教養主義がちゃんと合体してる。出てくる人々が全員キャラ立ってる。で、笑いあり、人情あり、ピンチありで、最後にはジーンと感動させる。国際エミー賞受賞作品というのも納得です。