聴いたCD/読んだ本

  • セゴビア自撰名演集(CD版)」
    • BGMに流しました。ギターは前から好きでしたが、最近はちょっと弦の音に惹かれてこともあって気持ちが再燃。
  • YASUAKI SHIMIZU「CELLO SUITE 1.2.3.」
    • テナー・サックスによる無伴奏チェロ組曲。冒頭で「うわっ」と感じたものの、慣れるに従いイイ感じに。分厚い音がしてます。今日は一日これ。4.5.6がヤフオクに出ていたのに逃してしましました。あわてることはないけれど、アマゾンも在庫切れ寸前…。
  • 川田茂雄「社長をだせ! 実録クレームとの死闘」(宝島社)
    • クレーマー罵倒&嘲笑本かなと思って、イヤな感じがあったのですが、読んでみると、クレームをつけるお客様も大切なお客様という前向きかつ誠意ある内容。そんなんで面白いのか? と思う人もいるでしょうが、これが面白い。クレームをつけて来た顧客の心理をきちんと汲み取って冷静に対処して行く。その過程で腹のさぐり合いもあれば、歩み寄りもあり、ドンデン返しもあるわけです。ちなみに、こういうことに詳しい知人によると、ネットでも大きな話題になった某社の大失態事件以降、クレーム窓口には優秀な人材が廻されることが増えたそうです。
  • 横山秀夫クライマーズ・ハイ文藝春秋
    • ミステリーではない。ミステリー的な要素はあるけれど、主眼は、御巣鷹山日航機墜落事故に遭遇してしまった地方新聞内部の生臭い闘いだし、事故取材よりも遥かに長いスパンでの主人公が自己回復して行く物語です。他人を信じ切れず、息子ともギクシャクし、社内では一目置かれながらもヒーローにはなり切れない中途半端な男。このあたりの座りの悪さ…このあたりのリアリティはサスガです。それにしても横山さんの描く「組織」は相変わらずの地獄。ホモソーシャルで理不尽で冷酷な世界なんですね。ぼくらの属する現実の「組織」はここまでひどくありません。誇張だよな…と思いたい。でも実際には、一皮剥くとけっこう地獄に近かったりします。でなければ、過労死する人間が出るわけがない。だから読んでるうちにイヤな気分になります。イヤだけど、グイグイ読ませてしまう筆力があります。ただ、これは横山さんの上手いところであると同時に限界なんだですが、そのイヤな地獄を補完するかのように、浪花節というか侠気の世界なんですね。で、最後には美談というかイイ話になっちゃて嘘臭くなる。このあたりは短編の方が凄味があります。もし横山さんが長編で完璧に救いのない地獄としての世界を描き出したとしたら、凄い作品になるはずです。でも部数は一桁減るでしょう。あと、横山さんの作品を社会派と呼ぶ人もいますが、違うと思いますよ。