読んだ本/聴いたCD
- 鈴木秀美「『古楽器』よ、さらば」音楽之友社
- 演奏会のプログラムやCDのライナーに書いた文章を集めたエッセイ集。軽い随想ではなく、古楽、古楽器というものに対する一般向けの啓蒙的な評論と言った方が適切でしょう。例えば古楽器やバロック・チェロという呼称自体、不正確ではないかという指摘や、古楽とモダンに分けることの意味のなさ、原題の大ホール、大規模編成に合わせた音量の大きいチェロと、バッハ時代のチェロの違いについての解説、バッハの無伴奏チェロ組曲の成り立ち、などきわめてわかりやすいです。ただ、初出の性格上、こうやって一冊にまとまると、筆者自身もあとがきで述べているように、繰り返しが多くなり、くどい感じになっています。確かにその分、著者の言いたいこととパッションが強調され、説得力を高めていることは事実ですが、欲を言えば書き下ろしに近い形でリライトした方が良かったのではないでしょうか? もっとも、それに費やす時間を考えると、無理な要求なのかもしれませんが。
- 鈴木秀美&バッハ・コレギウム・ジャパン「C.P.E.バッハ:チェロ協奏曲全3曲)
- フィリップ・グラス「ザ・フォトグラファー」
- アンナー・ビルスマ「プロシア王とチェロの音楽」
- これは楽しい! 深夜にヘッドフォンで聴きましたが、うきうきしちゃってもう大変。弦楽マニアだったフリードリヒ・ヴィルヘルム2世に捧げれらた、あるいは同時代の作曲家によるチェロの音楽。最初のデュポール「2つのチェロとフォルテピアノのためのソナタ ニ長調 作品2-1」からノリノリです。で、しばらくニコニコ聴いていると、いきなり表彰式などで耳になじんだ「見よ勇者は帰る」の旋律が飛び込んできてビックリ。ベートーヴェンの「『マカベウスのユダ(ヘンデル)』の主題による12の変奏曲」なのでした。この後も、デユポール、ロンベルク、ボッケリーニ、ベートーヴェンと総計74分も続きます。延々聴き続けたい。すごくいいですよ。愛聴盤になりそうです。