観たLD/聴いたCD

  • グレン・グールド:オン・ザ・レコード、オフ・ザ・レコード」
    • ヤフオクで落札。送料足してもDVDの半額。DVD高すぎ! 27歳当時のグールドです。ドキュメントなので演奏がちょっぴりというのが残念ですが、レコーディングした音じゃないので、唸り声も目一杯聴けます。スタンウェイ本社でのピアノを選ぶとこから面白い。また批評家との対話中「ウェーベルンは内気な人で音楽も内気だった」といわれて、「これのどこが!?」とハデに弾いて見せ、「内気な音楽ってのはこうだ!」とシューベルトを弾き語り(というか唸り弾き)するところが最高! グールドのシューベルト! 後半の「イタリア」収録現場のドキュメントも興味深い。収録というと、素人には何がなにやらわからない録音機材を前にプロデューサーや技術者がヘッドフォンつけて、真剣なおももちで演奏に対峙してるみたいなイメージがあったんですが、全然違いました。冗談いいながらリラックスして、演奏を見守ってます。仕事は録音してからという感じ。まあ、何テイクも録音するわけですから、緊張しっぱなしなんて無理ですね。コーヒーブレイクで「ゴルドベルクの時は髪の毛に藁クズついてるみたいな山出しの田舎モンだったのに」とからかわれて、グールドもなんか嬉しそうだったりして、なんだかほのぼのとイイです。でも、すでにぼくは、この27歳の青年が50歳で亡くなるんだとか、この愛犬も何年後かにはクルマにはねられちゃうんだとか、後にスタンウェイに対して訴訟を起こすことになるんだとかという諸行無常を知っているだけに、どうしてもセンチメンタルになってしまいます。
  • グレン・グールド「アンド・セレニティ 瞑想するグレン・グールド
    • 昨年出たベスト盤。しかし、普通に言うベスト盤なとはかなり違います。J.S.バッハシベリウスR.シュトラウスメンデルスゾーングリーグスクリャービンブラームスという渋めの選曲で、帯には「おだやかで静謐な作品を中心に編まれたベスト・アルバム」とあります。それはいいとしても「彼が音楽に求めたのは、絶えざる響き、そして『穏やかな(セレニティ)』の持続であった。至高のやすらぎと瞑想の境地をとらえたこのアルバムは、これまで彼を聴き続けてきたファンにも新た驚きとやすらぎをもたらすだろう」というのは自画自賛も過ぎると思います。それに「またこれからグールドを聴こうという方にも格好の1枚である」とも思えません。どう考えても入門編じゃないでしょ。「これから…」という人を掘り起こしたいのならグールドが選曲したとされる「リトル・バッハ・ブック」の廉価版をリリースした方がよほどいいと思いますよ(てゆーか、グレン・グールド・エディションを全巻、廉価版で出して、いつでも買えるようにして欲しい。無理か?)。それから日本版のみのボーナストラック(ブラームスの間奏曲op.118-2の別テイク(世界初CD化))というのも世界のファンに対して申し訳ないと思わないんですかね? よくある話だけどさ。ジャニス・ジョプリンの盤のようにLPからの復刻で、容量が余ってるので2〜3トラック、オマケにつけましたというのとは全然意味が違う。そういえば「アウトテイクの芝生は青い」ってグールドも言っています。