黙祷

 12日は成田弥宇(LIBIDO)の命日です。
 彼が亡くなってもう随分になります。ぼくが記憶していることをこの日記にでも書き留めておこうとは思うのですが、なかなか思うようになりません(バンド関係者でもないぼくが何を書けるのかっていうのもあるし)。ちゃんとした文章にはなりそうもありませんが、メモとして少し書いておきます。
 ぼくが80年代初期に「月刊宝島」でライターをやっていた頃、バンド関係に詳しい女性が、
「バンドの集まりがあるから取材に来て」
 と誘ってくれました。
「俺はバンドとかわかんないよ。そっち方面のライターじゃないし。役に立てないよ」
 と断ったんですが、
「いいから来て下さい」
 押し切られてしまいました。
 今となっては記憶も定かではないのですが、LIBIDOも参加したオムニバス『夢幻夢』がらみの集まりだったか、それとも『精神工学様変容』関連か? 82年の初めの頃かな? シスターMとかカトゥラ・トゥラーナとかも来てたと思います。
 その取材の過程で成田弥宇と「なんだ近所じゃん」という話になって、数日後、彼とドラムの小林トマ(だったと思う)が、「酒ないですか」と、ぼくのアパートに遊びに来たのでした。あいにくぼくは下戸で酒の買い置きがなかったのですが、カレーを大量に作ったところだったので三人でカレーを食べました。当時、彼はまだ学生でした。
 その後は、フツーにご近所づきあいでした。引っ越しを手伝ってもらったり、バイトを紹介したり、カメラマンとしてライブに入れてもらったりしました。畑違いの世界ということもあって色々面白かったです。
 LIBIDOのライブで一番印象に残っているのは、場所は忘れましたが、最初から最後まで即興演奏という実験的なライブでした。あれには総毛立ちました。近所の人がステージ上で全く別人になってしまう。大袈裟に言うと自分とは次元の違う世界に行ってしまう。コワイぐらいの迫力でした。ライブの魔力ということなんでしょうか? こうやって思い出しはじめると色々出てきますが、面白いことに、ほんとにどうでもいいようなことばかり思い出します。きっと書くと「古老の回顧談」みたくなっちゃうんだろうな。