虫のいい法律

 CD輸入規制法案が参院を通過してしまいました。ぼくはそんなに関心があるわけではなかったんですが、ヘンな法案だなと思ってました。だいたい
「日本で東南アジア向けに作って、現地で安く売ってるJ-POPのCDが逆輸入されて安く売られるのは困るから法律で規制しましょう」
 という手前勝手な理屈には唖然としたものです。
 しかも著作権保護とか言ってんだよね。
 ぼくがかかわった本が、正規のライセンス契約のもとに台湾で出版されています(もちろん翻訳出版)。当然、印税が支払われました。印税率自体は大差ないのですが、物価格差があるため、金額としては日本版の1/10以下です。
 J-POPのCDも似たようなものだと思います。要するにアジアで少々売れても、著作権者としては、あんまり美味しくない。しかも、ぼくの本なんかと違って、音源は同じですから、安いCDが日本に還流しちゃったら、高い国内版CDが売れなくなって、美味しくない×2になってしまうわけですね。
 でも、それは最初から想定できたことじゃないの? カイシャの経営者も、著作権者も、わかっていたことでしょう? 想定してなかったなんて呑気な話が、ビジネスの世界では通用しません。
 乱暴なことを言いますが、「美味しくないのがイヤだったら著作権者はアジアで安いCDを売らせないようにすればいいだけでしょ」ということです。
 国内版をそのまま輸出して、現地版のライナーつけて売ればいいのです。高くて売れないとしたら、それは国内版が高すぎて国際競争力がないだけの話です。そこをあえて安く売ってるとしたら、それはダンピングと言うんじゃないでしょうか? 著作権者は、
「カイシャがぼくの作品を東南アジアで安売りするのは迷惑です」
 ってちゃんと言えばいいと思うんですがね。
 頭の痛いことに法案では逆輸入J-POPだけではなく、すべての輸入盤が規制の対象になるらしいのです。ロックもジャズもクラシックも全部です。つまり、ぼくのような貧乏人が、「別に日本語ライナーいらないから安い輸入盤でいいや」と思っても、国内版が存在すれば、輸入盤ショップから買えなくなるかもしれない。
 欲しければ、直接、海外のショップから個人輸入するしかないということなんですね。
 まあ、百歩譲ってガマンするとしても、その場合、国内盤が廃盤になったからといって、すぐに輸入を解禁してくれるとはとても思えませんね。どっかのカイシャが国内での販売権を握ってる間は解禁しないでしょう。
 個人輸入ならオーケーというのは多少は安心できますが、海外のメーカーが「日本の販売権は○○社にあるので、日本人には売れない」と言い出したらどうしてくれるのか? 
 おっとっと…ぼくがここで不勉強なまま、先走っても、あんまり意味がありませんね。
 この件について詳しいところを新たにアンテナに加えました。参照して下さい。