読んだ本:ガンコジジイ讃

pecorin9112004-06-19

  • 俵孝太郎「新・気軽にCDを楽しもう」(コスモ)
    • ぼくとは思想的に相容れない人なので、色眼鏡を掛けて読んでしまったわけなんですが、これが好著。日本のレコード業界を強烈に批判していて痛快です。10年以上前の本なのに、業界の体質って全く変わっていないわけで、いや、昨今のCCCDだとか、著作権法を改正してまで利益を守ろうとする姿勢だとか、明確に堕落の度合いはひどくなっています。もちろん、本書の主題はあくまでも、これからクラシックを一生の趣味としようと考えている人のための具体的なガイドブックです。圧倒的な情報量で迫る「レコード・ライブラリーをつくる50万円3年計画」がメインということになります。これが実に楽しそうに書いています。「この予算なら、俺はこういう風に使って、こういうライブラリーにする」というシミュレーションをあーでもないこーでもないとウンウンうなりながら書いている。そもそも定石なんてないところに、ひとつの基準を打ち立てようというのですから生半可では玉砕必至なわけです。もちろん、俵さんの方法論にも、CDのセレクションにも反論はあるでしょう。ただ、こういう試みは、自分なりの方法論を作る際の作業仮説として有効だと思いますし、利用しない手をはないと思います。