ダン・シモンズの続き

pecorin9112004-07-13

  • ダン・シモンズダーウィンの剃刀」
    • カリフォルニアを舞台に悪辣な保険金詐取グループと事故復元調査員ダーウィンとの戦いを描く長編サスペンスアクションン。事故復元調査員というアイディアが面白い。犯人ではなく事故のプロファイリングを行うわけなんですが、本筋とは関係のない事故の挿話がちりばめられ、これが「不謹慎な」爆笑を誘ってくれます。ダン・シモンズのどこが好きと言われれば、無駄な長広舌と衒学(本書のタイトルもオッカムの剃刀のシャレですし…)とブラックなものも含むユーモア感覚です。傾向としてはスティーヴン・キングとも通ずるところがあるわけですが、キングの作品にはキングのプライベートな強迫観念(死と暗闇に対する恐怖、ゲイ・フォビア、去勢恐怖、母性に対するアンヴィバレンツな感情)が色濃く滲んでいて、その分、リアルさを増幅しているのに対し、シモンズの方は作り物として割り切って読めます。どちらが優れているということではありません。ただ、キングの優れた作品を読むと僕は慟哭したり、鬱が入ってしまったりするのに対し、シモンズは「すげぇな、面白ぇな」というノリなんですね。