ジャック・オーブリー・シリーズ映画化作品

pecorin9112004-08-02

  • DVD「マスター・アンド・コマンダー
    • 数少ない「劇場で観たかった映画」。我慢できずに買っちゃいました。もちろん中古&ヤフオクです。原作のファンなので、どういう風に料理してるか恐かったのですが、筋立てをシンプルにして、うまく作ってある。でも、原作の設定、例えばオーブリー艦長が女たらしだということを、交易に来た島の女を「いい女だ、くそー、時間がねー」って感じで未練がましく見つめるカットで活かしてあったりして、ファンならニヤリできるように作ってあります。そのへんも心憎い。帆船のディテール、洋上の日常もきっちり描き込まれています。戦闘シーンのリアリティもスゴイ。冒頭の砲撃戦で、霧の中で放火がフラッシュする。「伏せろ」と叫ぶ。次の瞬間、船の上部構造がズタズタに吹き飛ぶ。発射音が後から遠くに響く。一番早いのが光で、次が砲弾、最後に音です。当時の艦砲の初速は音速を超えていたのでしょう。破片の飛び散り方もハデで、当時の戦傷の大部分が船体から飛んだ鋭利な木片によるものだったというのが実感としてわかります。ロードショー時の「戦う船上、その中にはまだ幼い少年士官もいた」というキャッチはかなり誇大であざといですね。当時の英国海軍では12歳くらいの少年士官候補生なんて掃いて捨てるほどいたし、パウダー・モンキーと呼ばれる少年水夫たちもいました。近代における「子供」という概念が出現するちょっと前の時代です。パトリック・オブライエンの原作についてはこれから未読分を含めて全部読んでから紹介したいと思います。