どうしてここにいるのかわからない
「夜霧よ今夜もありがとう」
と鼻歌しながら、自転車置き場を通りかかると、通りかかったオッサンが、馬鹿にしたように
「よぎりよぉ〜こんやもありがぁ〜とぉ」
と歌いやがった。
鼻歌を聴かれるってなんだかとても恥ずかしい。
照れ笑いしながら、自宅のあるマンションに戻ってみると、マンションがいつのまにか大学の校舎のようなピロティ建築になっています。
しかも学生のような若い連中がピロティに一杯たむろしているではないですか。
どうなってんでしょうコレって?
よく見れば彼や彼女たちの風体はどことなくオタクっぽいんですよ。
案の定、地下に降りる階段口から覗いて見ると下では同人即売会をやっていました。
そんな馬鹿な! 夢だなこれは…と思っていると、ハッと目が覚めました。
目の前には、フリー編集者のH君がいて何か一生懸命説明している最中です。
「ごめん。ちょっとウトウトしちゃった」
と言って頭を振ってみても、どうにもはっきりしません。
H君が何か言っているのですが、眠くてよくわかりません。
マイッタな…と思って見回すと、これが見覚えのない部屋です。
コンクリート打ちっ放しの部屋です。
何故こんなところにいるのか、どうしても思い出せません。
どうやってこの部屋に来たのか記憶がないのです。
「なんでオレはこんなところにいるんだ!? ここはどこなんだ!?」
H君が何か言っているのですが意味が掴めません。
上に出る階段があります。
どうやら半地下の部屋のようです。
階段を上がってみると、そこは池袋でした。
部屋にとって返して、H君にもう一度たずねました。
「オレは何故、ここにいるんだ!?」
なんなんだ!? なんなんだ!? とジタバタしているうちに目が覚めました。
ふと周囲を見回すと……。