テリー・プラチェット

ゴースト・パラダイス (講談社文庫)

ゴースト・パラダイス (講談社文庫)

  • ディスク・ワールド・シリーズで有名なプラチェットのイギリス版ズッコケ4人組つーか、アホな少年たちが、小さな町に騒動を巻き起こすシリーズの一冊。幽霊が見えるようになった主人公のジョニーが幽霊たちに頼まれて、再開発計画にさらされた墓地を守ろう頑張るというお話。…と書くと、なんかリベラルでヒロイックなタメになる物語みだいですが、全然そうではない。ジョニーも最初は渋々です。でも幽霊たちの生前の姿を調べるうちに、偉人でもななんでもない彼らに愛情を覚えるようになります。幽霊たちの方も、ジョニーと接触する過程で変化していく。ネタバレになるので詳細は書きませんが、ある意味、生者たちより進化した生命体(死んでんだけど)へと進化してしまう。いかにもイギリス人らしいユーモア、つまりピュアな理想みたいなものも信じたいんだけど、それを丸見えにするのには老成しすぎちゃってて、シニカルで、時として悪趣味で、ブラックで、ビターな味付けをしないでは気がすまない…というような一筋縄では行かないユーモア感覚に満ちあふれています。モンティ・パイソンとかダグラス・アダムズの「銀河ヒッチハイク・ガイド (新潮文庫)」が好きな人ならばぜひぜひ。てゆーか、そういうのが好きな人ならばプラチェット読んでる確率はかなり高いでしょう。