メメント・モリ

刈り入れ (A Discworld Novel)

刈り入れ (A Discworld Novel)

  • ディスクワールド・シリーズ。前作「死神の館 (The Discworld novel (1))」での不始末により、死神がその職権を剥奪され、死ぬべき者が死ねず、世界は生命のオーバーフロー状態に陥る。プロットが複雑にからまりあい、黒い笑いが炸裂します。プラチェットは死の観念に取り憑かれたようなところがありますが、今回はネタがネタだけに余計にそれを強く感じます。ビターでメランコリックな味わいが、ナンセンスなドタバタ性を際立たせて、読み応え充分。おまけにベタベタにロマンティックなところも確保してあるという名人芸。楽しみなシリーズではありますが、訳者の執念によって続いているような節があり、なんとかファンが増えて欲しいと切実に思います。


死をポケットに入れて (河出文庫)

死をポケットに入れて (河出文庫)

  • 精神状態があまり良くない時にブコウスキーは禁物。晩年の日記、というよりは日付のあるフラグメントで、ほとんど私小説で、嫌な言い方をすれば、偏屈ジジイの鬱屈と怒りと諦観に満ちた繰り言大会。しかもロバート・クラムのやたらダークな挿し絵と来た日には、魂がどんどんヤバイ方向に引きずりこまれていきます。にもかかわらずメッチャ面白い。ブコウスキー自身のカルマともいうべき競馬場通いで見かけた壊れた人々の挿話、インタビュアーやカメラマンを装ってブコウスキーに接近するクレイジーなファンの話など、唸り声を上げて読んでしまいます。しかし、ブコウスキーMacユーザーだったとは意外といえば意外ですね。ブコウスキーは何冊も未読(積んである)。一度に読むとヤバいことになりそうなので。