印象派
夕方からのバレエの招待券を引き換えるため、Bunkamuraへ。引き換え開始が3時、開場が6時半。家に戻って出直すのも、ものすごく無駄なので、ザ・ミュージアムで開催中の「ポーラ美術館の印象派コレクション展」を観る。さすがに海外美術館の引っ越し展ほど大仰ではありませんが、かなり粒よりのセレクション。印象派を観るたびに「日本人はなぜ印象派を愛するのか?」ということを考えてしまいます。答えはまだ出ません。ただ、身体にも精神にも境界はなく、あるのはただ遠目にはフォルムに見えるクラスターだけ…という、ぼくの考え方に近いものは感じます。ルノアールでも後期の色彩と線がグルグルしてゴッホになりかけてるあたりが美味。今回の目玉の一つである「レースの帽子の少女」も確かに美しく愛らしいんだけどね。他に印象に残ったのはまずクールベの「岩のある風景」、モネの「バラ色のボート」、セザンヌの「砂糖壺、梨とテーブルクロス」。逆に期待したほどではなかったのがボナール。
名画というものはえてして「陳腐」と隣り合わせです。特に印象派はそれが強いような気がします。それでも、こうしてたまに現物を見ると「いいなあ」と感じるのは一つにはサイズの問題でしょう。画一化された複製画や画集のサイズ(大判でも限界がある)で見慣れた絵が、意外と巨大だったり、小さかったりします。特に風景画は実際のサイズで見ないと、良くも悪くもその真価は伝わりません。もう一つは、そばに寄ってマチエールまで微細に見ることができるという点でしょう。塗りがフラットな絵画の場合はそうでもないのですが、印象派の魅力はかなり表面感にあります。
展覧会を見終わって、ショップを覗くと、ダリやボス(ボッシュ)の絵画から立体に起こしたフィギュア(キャラ化?)とか、こないだ朝日新聞に出てたリチャード・ドイル他の絵本の多色木版画を切り抜いて額装したやつとか売ってて、欲しくなりましたが、一旦手を出すと際限がなくなるので(もちろんお金もない)パス。ちなみにリチャード・ドイルの弟チャールズも妖精画家。チャールズの息子がコナン・ドイル。コナン・ドイルも晩年は妖精に狂いました。
それでもまだ時間が余ったのでギャラリーを覗くとバーゲン中。まあ、ほとんどが「高価な版画」ですけどね(負け惜しみなので気にせぬように)。奈良美智とか村上隆とか印刷物で見る分には楽しいけど、欲しいとは思わないし。ただ、金子國義のデッサンは「ああ、カネがあったら買ってるぞ」の世界。バーゲンでも手が出ない。
Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/event/pola/index.html
絵本木版画・マリオンの記事
http://www.asahi-mullion.com/mullion/column/ippin/
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