27日のコンサートは、昨年暮れ、会場まで行って完売に泣いた金聖響の指揮。会場はすみだトリフォニー。オケはオーケストラ・アンサンブル金沢です。席はギリギリで取った最安席。三階席の後ろから三番目中央付近。金聖響さんのトークに続いて最初の曲が「六段」ですよ。オケの前に琴プレイヤーが30名並ぶという壮観。おなじみの曲ですが、いかにもなお正月気分。琴プレイヤーの退場後、ゲストの森麻季さんが登場。「からたちの花」「薬屋の歌(ドン・ジョヴァンニ)」。「フィガロの結婚序曲」をはさんで、お目当ての「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」。「踊れ、喜べ」は、この日記でも何回か書いてますが、元はカストラートのために作曲されたテクニックも声量も要求される難曲。森さんの場合、技巧は申し分なしとして、声量はどうか? そこんとこが唯一の気がかりではありました。三階席奥という条件は厳しいかもしれません。実際に聴くと低音部では多少オケが勝ち気味でしたが、高音部になるとさすがというか、音が突き抜けて鼓膜が震えるほどでした。コロラトゥーラの妙技に感嘆しきり。発声に無理が感じられません。まだもっと高い音が出るんじゃないかと思えるほどです。
 休憩時間中にサイン会があったので、もちろんCD買って並びました。握手あり、撮影オーケーという大サービス。
「素晴らしかったです。これまで何人もの方の『踊れ、喜べ』を聴いてきましたが、ほんと素晴らしかったです」
「難しい曲ですから」
 とまあ、お話までして、かなり舞い上がりました。
 第二部は『田園』です。この超有名曲を小編成のオケでどう聴かせてくれるのか? これがまたいいんですね。明瞭な響きで、なるほど大編成で押すばかりがベートーヴェンじゃないのだなというのがよくわかります。逆にこれくらいの規模の方が曲調に似合います。
 アンコールはベートーヴェンの『プロメテウスの創造物序曲』。
 で、すっかりいい気分になって会場を出て、哀しい知らせを受けることになったわけで、この先、「踊れ、喜べ」と「田園」を聴くたびに感傷的になってしまうんだろうなあ。思えばモーツァルトも夭折しているわけで…。そういうことを考え始めると、またキリがなくなるのでやめておきます。



あなたがそばにいたら~Bist du bei mir~(CCCD)

あなたがそばにいたら~Bist du bei mir~(CCCD)



 会場で買いました。前にも書いたけど残念なことにCCCDです。CDで出し直して欲しい。