ブロドスキーQ

Lament

Lament

 ブロドスキー・カルテットはエルヴィス・コステロとの共演盤「ジュリエット・レターズ」で話題になったこともあり、いつでも聴けるさと多寡をくくっていた。さて聴こうと思って探したら困ったことに廃盤が多い。この盤も運良く図書館で発見したからいいけど、国内盤は廃盤。「アイリッシュの風」というオリジナル・タイトル(「ラメント」)とは全く違う邦題なんでややこしい。このタイトルだけ見たらワールド・ミュージックと勘違いしそうだ。この邦題になったのはエルヴィス・コステロがゲスト参加してる曲だからで、営業政策としてはアリなんだろうけど、どうかと思うよ。
 とかなんとかブツブツ言いながら聴いてみたら、予想以上に素晴らしい。もっと早くに手を出しておくべきでした。ストラヴィンスキー弦楽四重奏のための3つの小品」からおとなしく(?)幕を開けますが、後はもうアイリッシュ・トラッドありの現代音楽ありのやりたい放題。特に現代音楽がいい。ハヴィエル・アルバレズの「メトロ・チャバカーノ」、ぼくと同い年のパウエル・シマンスキーの「弦楽四重奏のための5つの小品」、このあたりは緊張感があって引き込まれました。一番気持ち良く聴けるのが第一ヴァイオリンのマイケル・トーマス作曲「イズリントンのハロルド」。揺れ動きながら反復する心地よいミニマル。ラストの同じくマイケル・トーマスによる「ワルツィング・マチルダによる変奏曲」はほとんど冗談音楽に近いノリ。どんどん調子っぱずれになっていくのが愛らしい。アンコール曲の定番なんだそうだが、これで会場を送り出されたらさぞや幸せだろうな。