ムローヴァ

 昨夜、たまたまテレビをつけたらムローヴァのドキュメントをやっていました。
 CDは何枚か聴いているんですが、実際に弾いている姿を見るのは初。
 82年のチャイコンで優勝、83年に、ホテルにソ連の財産だったストラディヴァリウスを遺して亡命。…とここまでは有名な話。今回、驚いたのは、亡命後、チャイコンの優勝者名簿から名前を削除され、彼女の西側での活躍は知られることなく、ソ連崩壊まで著しく知名度が低かったということ。
 なかったことにされちゃってたんですね。
 旧ソ連では粛清された党幹部は歴史から抹殺される(公式写真からも消される)というのが常識ですが、それが一ヴァイオリニストにまで適用されるとは…。いや、チャイコンの優勝者というのはソ連にとって価値のある「国家財産」であり、それだけに亡命のトラウマが大きかったのかもしれません。
 ロシアへの演奏旅行で再会した父親の証言も興味深い。
「私たちはソ連にはなんでもあって、西側は貧困にあえいでいると考えていた。だから亡命はショックだったし、傷ついた」(大意)
 未だに北朝鮮はこんな調子なんだろな。
 少女時代の師匠も出てきて、
「10歳までに全部のテクニックを身につけさせないと成長しない」
 というのを、非常に厳しい少女時代を送った本人が、
「まったくそのとおりですね」
 と頷いているのがおかしかった。実際、そのベースがあればこそ、今のムローヴァがあるわけなんだけどさ。
 あと興味深かったのが、現在の愛器ジュールズ・フォーク(ストラディヴァリウス)にガット弦が二本張ってあるということ。弓も準バロック様式だそうですが、楽器もハイブリッドなんですね。
 夫のマシュー・バーリー(チェリスト)にも興味が出てきましたが、マイナーレーベルでしか出てないのが残念。

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ集

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ集

 やはり、まずはバッハでしょう。番組の中でも弾いてました。

Knots

Knots

 番組にも登場したビトゥイーン・ノーツとのコラボ。これは聴いてみたい。

Violin Sonatas 1-3 / Piano Trio 1 / Violin Cto

Violin Sonatas 1-3 / Piano Trio 1 / Violin Cto

 わりと最近のやつ。