伊藤彦造展
伊藤彦造 追悼展
〜天才絵師100年の軌跡〜
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
若いヒトにとっては「誰ですか?」なのかもしれませんが、戦前、戦中、戦後を通じて活躍した挿絵画家。
山本タカトが「平成の伊藤彦造」と呼ばれ、丸尾末広、初期の花輪和一、最近の古屋兎丸にも彦造の遺伝子が窺える…と書けば、その方面が好きな人にとっては「見ておかねばならない画家」であることはご理解いただけよう。
展示で面白かったのは10歳当時(戸籍の生年によればだがと断るのは、他に二種の生年があるため。最も古い説をとれば12歳当時)の鉛筆画。これがすでに彦造の画なのだ。もう一つは、日本で初めて、ケント紙に丸ペンで描いた人かもしれないということ。筆よりもペンの方が印刷に向いた精緻な表現が可能であることに気づいた彦造は、それに適した丸ペンを手に入れる。もちろん輸入品だ。しかし、最適な紙がない。探してみたところ、どうやらケント紙がいいらしいことがわかる。ところが当時はケント紙を日本で入手することは困難。もちろん輸入すればいいわけだが、今みたいに小口の個人輸入ができる時代ではない。輸入業者も小ロットでは相手にしてくれない。そこで新聞社に泣きついて、その膨大な量の紙を買ってもらったというんですね。当時は新聞社も太っ腹だったわけだ。彦造一人のためにポンと大枚なお金を出したんだもの。しかも彦造は、そのケント紙で他社の仕事もやったわけであります。いいなあ、みんなケツの穴がワイドで。
あと、展示にもあったが、太平洋戦争における彦造の「報国活動」についてはもう少し深く知りたい。
- 作者: 伊藤彦造
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/06/13
- メディア: 大型本
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