SF

さらば愛しき大久保町 (電撃文庫)

さらば愛しき大久保町 (電撃文庫)

 三部作のラスト。相変わらず主人公は愛すべきマヌケなんですが、今回はさすがに特殊な能力を持っているという設定。この能力というのが、普段の天然加減の源でもあるというあたりが絶妙。このシリーズを読んでいて常に思い出してしまうのがレナード・ウイバーリーの「小鼠」シリーズだったりします。ヨーロッパの架空の超小国が米ソを出し抜いて月に有人宇宙船を飛ばしたり、アメリカを占領したりという大笑い小説。アマゾンで入手可能な新本は「小鼠ニューヨークを侵略 (創元推理文庫 F ウ 2-1)」だけ(しかも残り2冊!)になってしまいました。冷戦時代を背景にした風刺入りの呑気なSFなので、このまま重版しないまま消えてしまうかもしれませんが、気になる人は「小鼠ニューヨークを侵略 (創元推理文庫 F ウ 2-1)」「小鼠ウォール街を撹乱 (創元推理文庫 526-3)」「小鼠 油田を掘りあてる (創元推理文庫 (526‐4))」も図書館や古書店で探してみてください。

コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

コラプシウム (ハヤカワ文庫SF)

 こちらも読了。高貴な身分に対する尊崇の念は遺伝子に書き込まれているというスゲェ発想。ただし、選挙で選ばれた事実上不死の女王から見れば、世界で一番の犠牲の山羊で、唯一自由を許されない人。天皇も自由ないもんなあ。

グリュフォンの卵 (ハヤカワ文庫SF)

グリュフォンの卵 (ハヤカワ文庫SF)

 短編集。ニューウェーヴの香り。一番のお気に入りはサープラス&ダージャーものの一編「犬はワンワンと言った」。スチームパンクなんだけど頭の中では宮崎駿版の「名探偵ホームズ」の景色に変換。