世界最初のエロ漫画?

 拙著『エロマンガ・スタディーズ』で「エロ漫画は石器時代の洞窟絵画から始まる」と書いたのは、要するに絵画の始まりがエロ漫画の遠いご先祖さまなんだよという話。
 漫画の始原を「絵草紙」や「鳥獣戯画」にまで遡るんだったら、いっそ石器時代まで遡ったらいかがですか? という揶揄でもあったわけです。
 実際に洞窟絵画には相当にエロチックな絵が含まれています。
 残念ながら現物は見てませんが、快にして怪なる好著『オルガスムスのウソ』によると、女性の放尿やセックスを描いた作品が見つかっているそうです。
 これに関して従来はシャーマニズム的な見方が主流でした。
 ところがアラスカ大学フェアバンクス校のR.ガスリー名誉教授が洞窟絵画に残されている手形を分析したところ、ほとんどが10〜16歳の少年少女のものだったことが判明しました。
 当時の平均寿命が現代の半分以下だったとしても思春期〜ヤングアダルト世代でしょう。
旧石器時代の若き芸術家
  洞窟壁画は狩りやセックスへの関心を映している
  10代の少年たちが描いたのかもしれない

ガスリーは手形の多くは男の子のもので,男女比は3対1から4対1と推測している。また,旧石器時代の多くの作品に描かれている主題を見ると,狩りや性への興味で頭が一杯になった思春期の少年が描いたものだと考えると納得がいくという。動物の絵には,胴体に何本か線が引かれ,口や腹から赤い顔料が流れ出ているものもある。ガスリーにいわせると,明らかに狩りの様子を見たままに描いたものだ。セクシーな女性の絵については,説明の必要もないだろう。

 ちなみにこれに関するガスリー教授の著書『The Nature of Paleolithic Art』はアマゾンでも購入可能ですが、自分の英語力と価格を考えると「余裕ができたら購入」て感じですな。アマゾンの説明(From Publishers Weekly)を読むと、かなり面白そうなんだけどね。

The Nature Of Paleolithic Art

The Nature Of Paleolithic Art

オルガスムスのウソ (文春文庫)

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