やっぱ、漫画、最高っす

オトメン(乙男) 第1巻 (花とゆめCOMICS)

オトメン(乙男) 第1巻 (花とゆめCOMICS)

 いいねぇ♪
 今以上にオトメ心禁止の時代に育った人間としては、泣けて来ますよ。
 文武両道才色兼備なオトコノコというのがなかなかツボ。
 サブキャラがドンファン系で実はオトメ漫画家でメタフィクションっぽさも楽しめる。
 ただイケメンでオトメンというのは卑怯だと思う。
 ここは体育会系のマッチョでオトメンって方が萌える。
 しかし、それでは少女漫画として問題が…。
 ジェンダーの混乱が許されるのは美男美女のみの特権?
 とまあ不粋なツッコミを入れるのも楽しみの内。
 でも、ここまで来てるとも言えるわけ。

会長はメイド様! 2 (花とゆめCOMICS)

会長はメイド様! 2 (花とゆめCOMICS)

 これもいい♪
 女子少数の共学底辺高の生徒会長が女子にも居心地のいい学校に変えていこうと奮闘するオハナシ。
 で、この会長さんがメイド喫茶でバイトしている。
 ブランド高>底辺高
 多数派>少数派
 という格差と差別を巧みに使っているワケ。
 多数派の男子が少数派女子を抑圧しているが、その少数派の一人がヘゲモニーを握り、なおかつ学校全体は多校から差別されているという二重三重に倒錯した仕掛け。
 しかもメイド喫茶という演劇性の高いサービス産業がもう一つの舞台。
 この奉仕ビジネスの倒錯性は先日読んだ『桜蘭ホスト部』とも共通する。
 奉仕する側とされる側の転倒が常態であり、曖昧な力関係が「場」を作っていく。
 という風なことを考えつつも、実際のところは会長の中の人のオトコ濃度高いところがステキというのがオレ的な落としどころか。
 性差を超えた凛々しさというのが好きなんだな>オレ。
 てゆーか凛々しさに性別なし。
 で、ここ最近、メイドについて考察中だったりもするわけで、考えれば考えるほど面白い。
「なんかオトコノコの好きなメイドさんって、煎じ詰めていくと『君には忠』というひじょうに武士道的な人格なんだよな」とか、
「メイドの描き方を見るだけでも描き手の世界観が見えちゃうよな」とか、
「G研のメイドロボ・コスプレの重層的な批評性には賛嘆するぞ」とか、
「欧米でフレンチ・メイドがエロチックなワードとして定着しているのは何故か?」とか、
「欧米の女装マゾなヒトタチがメイド女装を好むのは、男性>女性、主人>召使い、という階級制の中で二重に貶められるという感覚なのだろう」とかね。
 メイド研究家とは一度討議したいと思う。
 なんかすごい脱線してきたので次にいこう。

プラネテス(4) (モーニング KC)

プラネテス(4) (モーニング KC)

 ちょっと前の本をまとめ読み。
 SF好きにはたまらん作品。
 宇宙開発の影の部分も踏まえつつ、あくまでも未来を信じ、こまやかに日常を描くという正統派。『MOON LIGHT MILE』も好きだけど、ちょいとマッチョすぎて胃もたれするという人(オレだよ)には最適かも。

すごくしてね (MDコミックス 373)

すごくしてね (MDコミックス 373)

 続きはあとで。
(続き・4/19)
 この人の漫画をひそかにロリ漫画版『じゃりんこチエ』と呼んでいる(て、拙著にも書いたような気がするが…)。メインの収録作品「カラブリ気分」はダメ親父に懇願されて、売春&裏ビデオ出演させられている女の子の物語。裏ビデオがバレて教師に犯されたりもする。かなりというか相当に悲惨な話なのだが、根本的にこの人の描く女の子はしぶといのと加害者である大人たちのバカさ加減が救い。「抜き」のツボを踏まえながら、著者特有のアクチュアリティを出していく。このあたりがすごく上手いし、読ませる。