聖フランシスコも聴いた町の音

pecorin9112007-04-28

In Festa

    • Ensemble MICROLOGUS

 イタリアの古楽グループ、アンサンブル・ミクロログスのCDブック。ブックレットは三ヶ国語表記。英語があるのでなんとなく内容がわかる。ジャケを見ると「アッシジの祝祭」みたいなサブタイトル(イタリア語なのでよくわからんが)と書いてある。アッシジといえば聖フランシスコアッシジですね。
 昔、ゼフィレッリの映画『ブラザー・サン シスター・ムーン』を観て、感動したことを憶えている。細かいことは忘れたが、たしか十字軍遠征でぼろぼろになって帰還したフランシスコが、信仰を得て聖者となっていくというふうなストーリーだ。72年の映画なので、
「ヴェトナム帰還兵がヒッピーになって、ラブ&ピースに目覚める」
 という解釈もありだろう。その意味では極めて政治的な、ハリウッド・リベラルな映画だったとも言えるわけだが、それを踏まえても美しい映画であり、聖フランシスコの、自然とその現象を兄弟姉妹と捉え、「死」すら姉妹として迎え入れる思想は、どこか東洋の禅やタオとも通じる。
 おっと音楽から脱線してしまった。
 CDは当時アッシジで聴かれたであろう音楽を、「春」「恋」「夜」「祭」と構成したものでいかにも木の芽時の祝祭感に溢れている。中でも一つの曲の中で同時に違うメロディ(と歌)が交錯す様は、町の祭の華やかな喧噪を再現していて楽しい。

ブラザー・サン シスター・ムーン [DVD]

ブラザー・サン シスター・ムーン [DVD]