引用について考える
先に書いた(http://d.hatena.ne.jp/pecorin911/20070705)で引用の要件について大事なことを書き忘れていたので追加します。
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- 引用元が明記(著者名、書名など)されていること。
- 必要最低限の分量であること。
- 引用にあたって改変を行わないこと。
- 主従関係が明白であること。
こぼれていたのは最後の「主従関係」。これは要するに自分の書いた文章が「主」であり、「引用文」が「従」であることがはっきりしてないとアカンということです。
これもまた曖昧で抽象的ですが、ある程度は慣習的または常識的に判断がつくでしょう。
つまり、例えば一章丸々引用して、何の論評も加えないってのは論外です。
ブログでは論評なしに他のブログやホームページから文章をクリッピングして並べてるのを見ることがあります。もちろん考えなしにやってるブロガーもいれば、複数の「引用文」を並列すること自体にメッセージを含ませる人もいるわけで一概にどうこうは言えません。原文を直接参照できるようにリンクさせてるわけだしね。ただ、これも厳密にいうとアブナイ。ブログtoブログのクリッピングが裁判沙汰になったって話は寡聞にして知りませんが、そういうことがおきる可能性がないとはいえないので、ブロガーのみなさんも留意した方がいいですよ。
しかし、なんちゅうか、ブロガーどころかプロの物書きや編集者でも留意してなかったり、適当だったりするのにはあきれます。
大体、オレなんかに訊いてちゃダメでしょ。
んなこたぁ法務に訊け、弁護士に訊け、条文を読め!
オレが著作権関連で編集者に訊かれるのは雑誌のエロ漫画特集とかだったりするわけで、図版を使いたいがどうよ? みたいな話なんですね。
テキスト同様、基本的に引用の要件さえ満たしていれば、許諾を得る必要はありません。
まあ、引用元の雑誌や作家と付き合いがあるとか、なんらかの力関係があって挨拶しといた方が無難だと思えば仁義切ればいいだけの話。
ただ、要件を満たしていないケースも少なくないというのが問題ではある。
今のところ親告罪だし、いちいち目くじら立てるのも大人げないし、対応を間違うと企業イメージが傷ついたりしちゃうので、よほどヒドイことしない限り、刑事告訴される率は低いでしょうが、地雷原であることには変わりがありません。
図版引用で絶対許諾を取った方がいいのは、以下の場合。
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- 表現論などで引用図版を改変する必要がある時(元のコマと改変後のコマを並置して、表現の意図を解説するような場合など色々)。
- 本論と関係なくイメージ画像的に使いたい場合、あるいは四コマ漫画などの場合(二次使用料が必要になるかもしれません。実際にある雑誌でそういうことがありました)。
あと、書影の方が中身より権利関係がうるさいという説を聴いたことがありますが、実際に問題になったという話は聞きません。
確かに一時期、書影の引用すら拒否という版元もあったようです。しかし、法的根拠はないでしょう。漫画雑誌の場合、表紙に様々な版権が重なっているため、許諾を取るのが煩雑というのが「拒否」の理由なんでしょうか?
たいした根拠はないと思うけどね。
書影だって引用できます。
もちろん原寸大フルカラーの「書影」を1ページに1枚配置した「少年漫画誌表紙大図鑑」なんてものを作る時は、ちゃんと権利関係をクリアしないとだめだよね。まあ、地雷原を目隠しして走るのが好きな人はお好きなように。