読んだ本

  • シュテファン・ツヴァイク人類の星の時間」(みすず書房
    • 「その時、歴史は動いた」のように、歴史の転回点に立ってしまった人間の姿を描く、伝記小説集。「ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルの復活」の部分を読みたくて借りました。ヘンデルが脳溢血で倒れてから、超人的なリハビリによって再起し、「メサイア」を完成させるという物語です。訳文が古風(訳者の片山敏彦さんは1898年生まれ)で「メサイア」が「メシア」という表記になってたりしますが、それもまた味わいというものです。他に「ウォーターローの世界的瞬間」「南極探検の闘い」「封印列車」などなどを収録。こういう時代がかった文章というのも時には良し。ちなみにツヴァイクは長編評伝『マリー・アントワネット』が、池田理代子の『ベルサイユのバラ』(集英社文庫ISBN: 4087482200)に、フランス革命期の政治的怪物の一生を描いた『ジョセフ・フーシェ』が、倉田江美の『静粛に・天才ただいま勉強中!』(潮出版社ISBN: B00007CDX4)に、影響を与えたというか、ヒントを提供したというか、そういう意味では日本の少女漫画界の陰の功労者だったりもします。