リヒテル

pecorin9112004-06-05

 深夜にBS2で放映した「リヒテル幻の東京リサイタル」と「バイオリンの芸術」。録画しといたのを通しで観る。リヒテルハイドンの「ピアノ・ソナタ ニ長調ロ短調」とドビュッシーの「前奏曲集第1巻から、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12」アンコールは同「水に映る影 映像 第1集から」。収録は1984年。会場は蕉雨園(旧・田中光顕邸)で観客は200名程度しょうか、こじんまりしてて、なにやらご近所のご隠居が町内の皆さんを招いて発表会を開いたような、親密な空間というのがうらやましい。これなら後ろの方の席でもリヒテルの息づかいまで聞こえたんじゃないかなあ。聴き始めれば、普段は聴かないハイドンの美しさに溜息しきり。
 「バイオリンの芸術」はヴァイオリニストで音楽ドキュメンタリー作家でもあるブルーノ(ブリュノ)・モンサンジョンの作品(DVD化されています)。モンサンジョンといえばリヒテルメニューイングレン・グールドの映像作品も作っているし、グールド本も出しています。そういう意識で観ているせいか、別々の時間・場所で収録されたインタヴューを対話のように構成したり、一つの曲を様々なヴァイオリニストの演奏でつなぐような編集をしたりというあたりが、グールドのラジオ番組(聴いてないですけど)の対位法的ドキュメントや、近未来の聴衆は複数の演奏から自分の理想とする形に編集して聴くだろうという持論を一部実践しているようなところがあって、その意味でも興味深かったです。もちろん、綺羅星の如く、次々と立ち現れる天才、名演奏家の貴重なフィルムと録音には圧倒されました。