色々

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ

 珍しく日記を休んでしまいましたよ。
 29日は伊藤剛さん、夏目房之介さん、東浩紀さんのサイン会&トーク・ライヴへ。
 伊藤さんの本では「マンガが面白くなくなった言説とはなんであったのか?」「キャラとキャラクターの分離」、この二点が大きな問題提起になっています。当然、この二つを巡る議論が交わされたわけで、興味深かったですよ。
 前者の議論に関しては80〜90年代に漫画評論にかかわった人間の多くがあたかも枕詞のように「最近の漫画はつまらんツマラン」とゆーてたわけですね。お前はどうよ? といわれると、ぼくはあんまりそういうことを言ったり書いたりした記憶がない。というのはぼくがかかわっていた美少女系のエロ漫画の第一期黄金時代が80年代中〜後期です。いったん90年前後の大弾圧時代を経て90年代に突入して、倍々ゲームで成長したジャンルです。その現場に居合わせた人間としては「面白い♪」の一言でした。
 大塚英志さんが、吾妻ひでおさんの作品を美少女系エロ漫画の到達点じゃ、みたいなこと言ってるわけなんだけど、じゃあ、その到達点以降はどうだったのか? というのがぼくの仕事なわけです。
 結論からいうと吾妻ひでお的な意味での美少女漫画はなるほど吾妻ひでおが到達点でオッケーなんですが(トートロジーだけどね)、これも「つまらなくなった」言説のバリアントかもしれません。
 実際はそこから変容し、あるいは進化した「美少女系エロ漫画」は幾つもの到達点を抱えています。なんせ20年以上のドラマがあるんだもん。それを無視するのはどうか? ということです。
 トークライブとかで質問タイムになると絶対に
「最近のエロ漫画はつまらなくなったと思うがどうか?」
 という
「オマエ、オレにケンカ売ってんのかコラ」
 とお応えしたくなるような質問をされる方がいらっしゃいます。ぼくも仮にも大人なので昔のように
「おもろいかおもろないか、とりあえず1000冊読んでこいや」
 とはいいません。
「最近のエロ漫画、読まれていますか? 面白い作品も一杯ありますよ」
 とお答えするわけです。なんか自分の立ち位置に引き付けすぎてますけど、まあ、そういうことだ。
 キャラとキャラクターの分離に関しても、参考になる発言が次々出てましたね。
 夏目さんのツッコミと東さんの整理によって、より明解になった感じ。
 メモ取りながら頷いたり爆笑したりで充実のひととき。
 これは、ゆっくり整理したいんで、また今度書きます。(以下続く→★)

★続き(11/3)
 トークショーには漫画史研究会のみなさんや知り合いが一杯来てました。最近研究会はさぼりっぱなしなので、会えてうれしやという感じ。ぼくはヤマダトモコさんと斎藤環さんに挟まれて座っておりましたが、斎藤さんはトークに乱入するし、竹熊健太郎さん、藤本由香里さん、山本夜羽音さんも質問に立つしで、かなりの盛り上がり。PRESSの腕章つけたカメラマンもよく見れば知り合い。おっと森川嘉一郎さんに、更科修一郎さんもいるではないか。
 というわけで、自分の担当編集者が来てない(出張らしい)ことをいいことに、打ち上げにも出席し、飲み食いしゃべりまくりで仕事は完全に放棄。ごめん。

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