オリバー・ツイスト

 http://www.olivertwist.jp/
 昨日同様、朝から、廻ってくるのかどうかわからない雑誌仕事の下調べをサクサクやって、夕方から息子と九段へ「オリバー・ツイスト」の試写会へ。そういえば自分が学生だった頃、母と観に行ったのもディケンズ原作のミュージカル映画クリスマス・キャロル」でした。感想はまた明日にでも。
続き→映画化、ミュージカル化されて有名な作品でもあるのでネタバレは関係ないでしょう。田園風景の中をとぼとぼあるオリバーの姿に涙し、19世紀ロンドンの街を再現したオープンセットの凄まじいまでディテールに圧倒されました。2時間10分という長尺であるにもかかわらず、緊張と緩和が行き届いているため、一切ダレることなく、あっという間に見終えました。ここ近年のポランスキーはスゴイですな。昔は昔で素晴らしく狂ってたんだけど、巨匠の風格が出てきたというか、いやはや立派。
 ディケンズのシニカルな毒素を抜くことなく、感動のオブラートに包み込むとでも云えばいいのかな。この作品は「可哀想な孤児が苦労の末に幸せになる」という理解しやすいパッケージの中に、誇張され戯画化されたキャラクターを配して社会批判を盛り込み、さらにその一段下には「社会批判もまた巧妙な大衆迎合ではないのか?」という苦い想いまで込めています。なにしろ飢え死にしかけているオリバーを見殺しにしなかったばかりに、掏摸の一味は次々と不幸に見舞われ、ついには壊滅してしまうのですから立場を変えればヒドイ話なんですね。悪人の善行は報われないで、ブルジョワの気まぐれみたいな善意は生きる。無垢であるということがどれほど残忍なことであるのか? ほとんどニヒリズムに近い黒い思想と云ってもいいし、無常観みたいなものがちらつきます。


クリスマス・キャロル [DVD]

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 アルバート・フィニーですな。品切れですな。