貧乏だけど野心家の少女が男爵夫人にまでのぼりつめて、幸せに暮らしましたというふざけた自伝。それも肩書きだけじゃなくって、
ロスチャイルド男爵の夫人ですから、成り上がり方の桁が違うぞ。最近は「セレブ」という言葉も急坂を転げ落ちるように陳腐化し、価値が激減してますが、本書を一読すれば国産サイズの富豪やセレブがみすぼらしく見えること必定です。とはいえ
ロスチャイルドだって「
爵位を獲得した新興
ブルジョア」に過ぎないわけで、どうしようもない俗っぽさが漂ってきます。もちろん嫉み妬みで言ってるわけですが、クラシックのレコードを一枚も持っていないのに、誕生日には
ドミンゴの生「ハッピー・バースディ♪」……。まあ、金持ちにはなんでも許されるというわけですね。富の独占を恥じるような神経では金持ちにはなれません。