ドラえもん最終回問題
話題を集めた田嶋・T・安恵さんのドラえもん最終話に小学館がクレームをつけているそうです。この話を聞いて、感情の部分ではムッとしていたりもするんですが、田嶋作品に対する評価の過熱ぶりを見るにつけ、著作権法がある以上しようがないかなとも考えます。
オレは田嶋作品は厳密にいうとパロディではなくパスティーシュ(贋作・偽作)だと捉えています。もちろんパロディがセーフで、パスティーシュだからアウトだというわけではありません。作品の形式としての差異にすぎないわけです。ただ贋作が真作に匹敵しかねない水準に達した*1瞬間、様々な問題が露呈します。
要するに「ホンモノとは何か?」「著作権的な正統性の意義は?」というラディカルな、存在論的な問いかけに変じてしまうのです。
だから、これは法的な権利問題であると同時に、表現が表現者の意図を超えて批評性と政治性を持ち得てしまうという意味で表現の根幹にかかわる問題でもあるわけです。
そんなわけで小学館サイドには大人の対応(正規の著作権料+象徴的なペナルティ)程度で矛を収めていただきたいものです。
まあどう転んだところで、世間的な支持を受け、小学館を慌てさせたという意味でも田嶋さんの才能は高く評価されたわけで、前向きに受け止めればいいと思います。
*1:オフィシャル作品だと勘違いするトンチキが出てきたことは一つの証左になります