北斎DNAのゆくえ

江戸文化シリーズNo.24
北斎DNAのゆくえ
北斎一門肉筆画傑作選 〜

出品画家  29名
葛飾北斎、蹄斎北馬、魚屋北溪、葛飾応為、辰女、菱川宗理、
柳々居辰斎、抱亭五清、卍楼北鵞、柳川重信、二代葛飾北斎
二代葛飾戴斗、北泉戴岳、北鼎如蓮、葛飾北雲、
葛飾北岱、昇亭北寿、葛飾北一、蛟斎北岑、本間北曜、
大山北李、葛飾北明、岳亭春信、斗雷、戴雅堂一僊、雷山、
安田雷洲、一昇、春好斎北洲

板橋区立美術館:10月13日まで
http://www.itabashiartmuseum.jp/art/schedule/e2008-04.html

 ここんとこ唸りながら書いていたユリイカとCDジャーナルの仕事が終わり、DTP仕事も一区切りついたので、西高島平まで遠征。
 前期後期で展示の入れ替えがあって、北斎のハイバーリアリズムな「西瓜図」とか見られなかったのは残念。
 お目当てその1、北斎の「弘法大師修法図」は流石にド迫力。お大師さんの衣の塗りが輪郭線>白縁>塗りになっているこを確認。
 お目当てその2、應為の「吉原格子先の図」は清親の光線画の先駆けみたいな、陰翳を駆使した傑作。闇の深さは電気以前の江戸の暗さであると同時に苦界の深さか。ただ意外に小さな絵だった。図録に入っているのがほぼ原寸大。
 お目当てその3、北斎の「拷問図」は、本の引用図版しか見たことがなかったのだが、現物はさらに痛々しい。新井勉の『北斎の隠し絵―晩年の肉筆画への執念を解く』によれば、拷問を受けている女性が吊されているのが天井の梁ではなく、屋外の鳥居であり、これは鳥居耀三によって柳亭種彦が殺害されたことを描いているのではないかということだ。実際に拷問死したのかどうかは別として、種彦が取り調べ直後に死亡していることは事実。心労で死んだか、幕臣として詰め腹を切らされたか、その辺は謎。同書が手許にないのでうろ覚えでスマンが、同書をベースにしたらしい要約がテレ東の「美の巨人たち」(http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/040814.htm)に出てる。
 掘り出し物は二代戴斗の「若衆図」。オトメ男子の可愛らしさ満点。

 帰り、ちと足を伸ばして、赤塚山乗蓮寺東京大仏を拝観。
 日本で三番目にデカイそうだが、新しいのでありがたみはもう一つ。
 100年くらいたつと、味が出るかも。
 同寺の見物は、むしろ山門。
 表側の阿吽像、裏側の広目天多聞天は一見の価値あり。