読んだ本と聴いたCD
- チャンドラ・バール「匂いの帝王」(早川書房)
- 科学者の世界もやはりドロドロというのが予想していたとはいえ大笑い。確かに一生をかけた研究が、横からやってきた天才によって、一瞬にしてゴミにされちゃうんだから、たまらんです。しかし、形状説派がほぼ全員取材拒否で、「あんな説はゴミ」だと罵りながら、誰も問題の論文を読んでいないというのは判りやすすぎ。気持ちはわかりますが、より有力な説を完璧に葬り去るのは困難でしょう。こういう記録が残ってしまった以上、たとえ振動説が認められるのが50年後でも、潰しにかかった人たちは科学史に汚名が残る。仮名でも、暴かれる。そういう意味でコワイ本でもあるわけです。